ジャン・ルノワールのとっても楽しい映画。最後のカンカン・シーンは何かと暗いご時世、観ていて心が高揚してくる。
パリの有名なレビュー劇場ムーラン・ルージュの誕生物語。ジャン・ルノワールが1939年の『ゲームの規則』以来、十五年ぶりに母国語で作った映画でもあります。
なお若手時代のミシェル・ピコリが出演しており、てっきりあの王子様役だと思い込んでいたが、調べてみたら出資者の取り巻きの一人(制服を着ていた男)役だった。
さて感想だが、正直いうとジャン・ギャバン扮する主人公の老興行主にあまり共感できなかった。
彼が若い洗濯屋の娘(演:フランソワーズ・アルヌール)をダンサーとして見出だす。さらには彼女と恋に落ちる。
で、このジャン・ギャバンは恋多き男で、また次の恋人を作ろうとする。
いいのよ女好きなら女好きで。
ただそれをカバーするぐらいの舞台やショーが大々好きな舞台バカぶりとしての描き方が弱いように感じてしまい、結果、最後のアルヌールに対する態度もあまり好きではなかった。
もう少しギャバンに壮大な夢を語って欲しかった。そして輝いている目を見たかった。
この辺りはまだハリウッド映画の方が勘所を抑えているような気がする。
性格最悪だったマリア・フェニックス扮するダンサーが後半からガラッと態度が変わるのも何か違和感がある。
なので物語としてこの映画を観ると納得できない点も多い作品だが、何といっても圧巻のダンスシーンの素晴らしさに焦点を絞って観れば大変に楽しい作品だと思う。
あとあのエディット・ピアフ(エビとピラフじゃないですよ!)はじめ当時のシャンソン界のスターが歌手役で特別出演しているのも見所!
■映画 DATA==========================
監督:ジャン・ルノワール
脚本:ジャン・ルノワール
製作:ルイス・ウィプフ
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス
撮影:ミシェル・ケルベ
公開:1954年12月27日(伊)/1955年8月14日(日)