【意外によかったけど】
意外によかった、というと失礼かも知れませんが、小西真奈美のファンでもなく、弁当作りにも興味のない私が見ても結構面白く見ることができました。
ヒロインがダメ亭主に愛想づかしをするところから始まりますが、このダメ亭主の性格付けが見事。妻からすると徹底的に甲斐なしなのですが、子供から見ればそれなりの父親なのですね。そういう人生の複雑さ（？）がちゃんと盛り込まれている作品なのです。
いちばん良かったのは、飲み屋のおやじを演じる岸部一徳でしょうか。いい味を出しています。グループサウンズ全盛期のタイガースを率いてサリーと呼ばれていた時代を知っている私からすると、あの人がここまで来るとは、と感慨を催しました。
元同級生で斜陽の写真屋を営む青年もなかなかうまい設定です。
ただし、最後辺りになって脚本が乱れてくるのが惜しまれます。ヒロインが結局自分を貫くわけですが、そこに至るまでには飲み屋のおやじさんに迷惑をかけているし、元同級生の青年もいわば袖にされてしまう。色々あるのはいいけれど、収まりがどうも悪い。もう少し後味のよい結末にできなかったものか。その辺に工夫があれば佳作と呼ばれる映画になったのではないでしょうか。
