警官の暴行で移民の若者が重体になり、その友人であるユダヤ系のヴィンス(ヴァンサン・カッセル)、アラブ系サイード(サイード・タグマウイ)、黒人ユベール(ユベール・クンデ)はいつもどおり体制への反抗心を露わに町を歩く。しかし、ヴィンスが警官が落とした拳銃を見つけたことで、彼らの日常が変わっていく。
「クリムゾン・リバー」のマチュー・カソヴィッツ監督が、移民たちが集まるパリ郊外の団地に住み、抜けられない悪循環の中で生きる若者たちを描いた作品。
ちょうど「レ・ミゼラブル」や「アテナ」の前日譚というか原型みたいだ。
彼らはウダウダくっちゃべって、惰性で体制に反抗してるんだけど、そこから抜け出そうともしていないように見えた。
さらに酷いのが警察で、移民への嫌悪感を前面に若者たちをいびり倒す。
そんな胸糞映画ではあるんだけど、字幕も追いつかないスラングの洪水がリアルで楽しく飽きることがない。
屋上のバーベキュー、団地のDJ、彷徨い牛、ヘタな散髪、シベリアの話をする老紳士、ロシアンルーレットっていう小ネタの積み重ねも絶妙!!
さらに、画面の手前と奥で同時に人を動かす手法も見事で、仲間と話すヴィンスの奥で、妹に髪型をバカにされてるサイードの場面なんか楽しくて巻き戻しちゃった。
荒々しくプチサイコなヴァンサン・カッセルの暴れっぷりも良い。
“まだ大丈夫、まだ大丈夫” と落ち続ける彼らの着地はやはり…