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デカローグのkuuのレビュー・感想・評価

デカローグ(1988年製作の映画)
4.2
『デカローグ』
原題Dekalog.
製作年1988年。上映時間567分。
※製作年は1989年から1990年にかけてと記載があるのもありましたがフィルマークスに準じます。

『トリコロール』3部作で知られるポーランドの名匠クシシュトフ・キエシロフスキーが手がけたテレビシリーズを映画化したポーランド・西ドイツ合作作品。
スタンリー・キューブリックは、このクシシュトフ・キェスロフスキとクシシュトフ・ピエシエヴィチに対して『彼らについて話すだけでなく、彼らのアイデアを脚色する非常にまれな能力を持っている』と述べてます。

旧約聖書の十戒をモチーフにした(十戒のそれぞれの文言を巧くテーマとしてるが、キェシロフスキーは、十戒に正確に即しているわけではなく、十戒に言及したことはないと述べてる)、ワルシャワ郊外の同じアパートに住む人々を描いた10のエピソードからなる。
1989年ベネチア国際映画祭で上映された後に各国で劇場公開され、カンヌ国際映画祭審査員特別賞ほか多数の賞を受賞。

第1話『ある運命に関する物語』
デカローグI
クシシュトフ・キェシロフスキ 1988年|53分|カラー|デジタル
"私はあなたの神である主である。汝、我の他に神を持つべからず。"

大学教授と10歳の息子Pawelは、自宅のコンピュータで生活をしている。
パヴェルの叔母が彼の精神的な教育がおろそかになっていることを心配する一方で、父ちゃんの理性と科学的方法への信頼は、予測不可能な運命に直面することになる。。。


第2話『ある選択に関する物語』
デカローグII
クシシュトフ・キェシロフスキ 1988年|57分|カラー|デジタル
"汝、神である主の名を冒涜してはならぬ。"

年老いた医師のもとに、一人の女性が複雑な依頼を持ちかけてくる。
彼女の旦那は重病で死んでしまうかもしれず、彼女は他の人との間に妊娠している。
夫が死ねば子供を産みたいが、そうでなければ産みたくないので、医師にその可能性について正直に評決してほしいと云う。。。


第3話『あるクリスマス・イヴに関する物語』
デカローグIII
クシシュトフ・キェシロフスキ 1988年|56分|カラー|デジタル
"安息日を称える"

クリスマスイブの夜、タクの運ちゃんは安息日の伝統を重んじ、家族にプレゼントを贈り、真夜中のミサに参加する。
その後、かつての恋人エワから、失踪した旦那を探すのを手伝ってほしいと頼まれる。
彼はこの日を神聖に保つために家にいるべきなのか?それともエワを助けることが彼の義務なんか?。。。


第4話『ある父と娘に関する物語』
デカローグ IV
クシシュトフ・キェシロフスキ 1988年|55分|カラー|デジタル
"汝の父と母を敬え。"

演劇専攻の学生であるアンカは、独り身となった父と仲良い関係にある。
父が海外旅行に出かけた際、アンカは父が自分の実の父ちゃんではないかもしれないことを示す手紙を見つける。

第5話『ある殺人に関する物語』
デカローグV
クシシュトフ・キェシロフスキ 1988年|57分|カラー|デジタル
"汝、殺すなかれ"

若い男がタクの転ちゃんを惨殺し、国によって絞首刑にされる。


第6話『ある愛に関する物語』
デカローグVI
クシシュトフ・キェシロフスキ
1988年|58分|カラー|デジタル "汝、姦淫すべからず"

19歳の孤児であるトメックは、友人の母親の家に住み、地元の郵便局で働いている。
彼は30代の魅力的な女性マグダを観察していたが、彼女に恋をしてしまう。
観察がスパイ行為に変わり、最終的には執着するように。
マグダもトメックに執着するようになる。
長編『A Short Film About Love』として発表された作品。


第7話『ある告白に関する物語』
デカローグVII
クシシュトフ・キェシロフスキ 1988年|55分|カラー|デジタル "汝、盗むなかれ"

若い女子が、両親が妹として育てていた自分の子供を誘拐しちまう。
彼女はその責任に耐えられないことに気づく。
一方、子供を育てた安定した愛情のある家族は取り乱してしまう。


第8話『ある過去に関する物語』
デカローグVIII
クシシュトフ・キェシロフスキ
1988年|55分|カラー|デジタル
"汝、隣人に対して偽りの証言をしてはならぬ"

ホロコーストの生存者が、かつてこの戒律に基づいて彼女を助けようとしなかった倫理学の教授と対峙する。
監督の共通の友人であるジャーナリスト、ハンナ・クラールの体験談をもとにした作品。


第9話『ある孤独に関する物語』
デカローグIX
クシシュトフ・キェシロフスキ 1988年|58分|カラー|デジタル "汝、隣人の妻を欲してはならぬ"

心臓外科医として成功しているローマンは、自分の性機能障害が永久に治らないことを知る。
彼は奥さんに恋人を作るように勧める。
奥さんはしぶしぶ応じるが、ローマンは以前の言葉とは裏腹に、執拗に嫉妬するようになる。


第10話『ある希望に関する物語』
デカログX
クシシュトフ・キェシロフスキ 1988年|57分|カラー|デジタル "汝、隣人の財を欲してはならぬ"

シリーズの最後を飾るんは、父の切手コレクションを受け継いだ兄弟のブラックコメディ。
切手の知識もなく、父の趣味に腹を立てていた彼らは、最も高価なセットをその価値に気づく前に手放してしまい、それを取り戻そうとする。

全10話(このうち第5、6話はそれぞれ『殺人に関する短いフィルム』『愛に関する短いフィルム』のタイトルで単独の映画としてロングバージョンが製作・公開されている)。

人に借りたまま(デジタルリマスター版は既にみて返した)、引っ越ししても大事に持って2度目(デジタルリマスター版が1回目)、本家を見返し再視聴見終わり、よく考えたら、ドラマの10話一気見と同じやんと、前回はかなり時間がかかったけど今回はさほど日数かからず一気見感で観た。
リマスター版よりこちらの方が個人的には味があって傑作感がありました。
ポーランド人監督クシシュトフ・キェシロフスキは、政治、 コメディ、 稀有な作家だそうです。
この作品は、
ワルシャワのある集合住宅を舞台にした10篇のショー トフィルムからなってます。
もともとてのはポーランドのTV向けに制作されたヤツらしく、本作品で監督は、より壮大で普遍的なものに目を向けたんちゃうかな。
ある部屋じゃ、父と子が科学技術が支配する時代の神の存在意義について考えとる。
別の部屋じゃ、医師が男性患者の延命について(この選択が妊娠している患者の妻に重大な影響を及ぼす) 悩んどる。
さらに父親が残しよった高価な切手コレクションを引き継ぎ、疎遠やった父に思いを寄せる兄弟。
死刑の是非を問う残虐な殺人事件。
どの話も家庭内のやむを得ない事情をてのを扱い、正誤てのの判断はできないかな。
キエシロフスキ監督は主人公たちの選んだ第3の道を示しとるらしいが、各お話には、それぞれ十戒の掟にちなんでいる。
(各々のテーマ戒律を書いときました)
キエシロフスキ監督はこの古い戒律をいかに現代の複雑な日常生に当てはめるかに、 興味をもったようやけど、 また、各エピソードに違った美学が見られるけど、それぞれのテーマは類似している。
別々のエピソードにゃ同じ俳優が登場し、個性的で魅力あるストーリー同士をつなぐ役目を果たしてるかな。
人間らしさとはなにか、ちゅう永遠のテーマに迫る多彩な物語てのを、 違和感なくひとつにまとめあげてる詩的な『デカローグ』は、 エンターテインメントって枠じゃなく現代じゃ芸術作品の範疇なんかなぁ。
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