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アウトローブルースのkのレビュー・感想・評価

アウトローブルース(1977年製作の映画)
1.9
(昔ノートにメモした感想文から転載)
カントリーミュージックはどこか能天気というか、スカスカというか、自らの罪への眼差しのない軽薄な音楽だ。
ピーター・フォンダの真っ白な歯も、スーザンジェームスの平らな胸も、ただただ軽薄に映るのはそのせいもあるだろう。
監獄での日々を「息をしていただけで、生きてはいなかった」と表すセリフは、こうして記憶によく残るほど良いセリフだが、そこに重みはない。
ひたすら憎たらしい嫌な奴を演じてみせたジェームズ・キャラハンもこれでは浮かばれまい。
そもそも主人公が監獄で過ごす日々の描写がよろしくない。
ニコニコとギターの練習に興じることができ、ミュージシャンのコンサートもノリノリで、おまけに監獄の所長自ら率先して主人公をレコード会社に売り込んでくれるなんて、監獄もそんなに悪いところじゃなさそうだ、と思えてしまう。
監獄に入ることはなくても実社会で辛酸を舐めて暮らした黒人たちからすれば、「じゅうぶん生きてやがんだろうが」といった具合。
映画のラスト。
撃たれた主人公は手負いのまま女の逃避行。
ボートで川をくだって逃走するも、逃げ道(川)はすべて塞がれ万事休す。ボートを捨て川に飛び込むと、唐突に主人公と女の挙式のカットへ移り変わる。
川に飛び込んだあとに、いったいどんなミラクルが起きたのかはついに教えてはくれなかったが、ともかく二人は救われ、結果オーライ。
なるへそ。
こんなことならいっそ、二人揃って川でくたばってくれたほうが観ているこちらは救われたんだが。
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