スローモーション男

黒い牡牛のスローモーション男のレビュー・感想・評価

黒い牡牛(1956年製作の映画)
4.5
 あの『ロッキー』に多大なる影響を与えた映画。

 メキシコの小さな村で、一頭の子牛が生まれる。家族はヒタノという名を付け、少年レオナルドの元で大切に育てられるが、闘牛用の牛として買い取られてしまう。

 めっちゃ色んな映画に影響を与えたと思います。少年と牛の交流を描くシーンはどう見てもスピルバーグの『戦火の馬』でした!
 あと牛を助けるために大統領の邸宅に行くシーンはチャン・イーモウの『あの子を探して』やポン・ジュノの『オクジャ』に似てる。

そして何よりクライマックスの闘牛シーンは『ロッキー』ですね!何度もモリや剣で刺されても戦い続けるヒタノに観客たちは感動していく。そして助かり少年と共に闘牛場を去っていくラストシーンはとても感動的です。
それは脚本をダルトン・トランボが書いているのも要因の一つで、赤狩りの被害を受けたトランボが共産党の仲間を売らなかった自分自身と戦い続ける牛を重ねているのです。『スパルタカス』の最後にも似てますね。
やはりトランボは素晴らしい脚本家です。

シネスコの圧巻な映像美と少年と牡牛の絆に圧倒された作品でした!