あなぐらむ

トランスポーター2のあなぐらむのレビュー・感想・評価

トランスポーター2(2005年製作の映画)
3.9
1作目はテレビ放映版で見ちゃったんだけど、まぁこのシリーズなら問題あるまい。本作もDVD鑑賞。それでよい。
元より、俺のお目当てはジャケットでも刺激的なお姿を晒しておられるケイト・ノタ嬢その人だからだ!

危険な仕事から脚を洗い、今はアメリカのマイアミで大物若手政治家の子供の運転手に納まっていたフランク。
しかし悪党どもがこの政治家の子供に目をつけた事からトラブルに巻き込まれる。病院での襲撃は何とかかわしたフランクだったが、結果的に子供を誘拐されてしまう。
警察にも犯人と目され孤独な追跡を開始するフランク。しかし子供は程なく解放される。連中の本当の狙いは何なのか…?

この作品、時代劇で言えば「ご存知物」みたいなもんじゃなかろうか。
俺は観ながら全然トーンも違うんだけど、市川雷蔵の「眠狂四郎」シリーズを思い出したりした。
自分のルールを持ち、女にはモテモテ、頭もキレてとにかく強い。
まさにご存知フランク様! ってな感じである。
この映画にストーリーの起伏とか、キャラクターの葛藤とかを求めてはいけない。一気呵成に展開されるアクションとお色気とスリルを堪能すればいい。
心地よく、主人公フランクに同化して束の間のヒーロー気分を味わえばいいのだ。
尺的にもアクション映画としては理想的な89分。昨今の長いばっかりのハリウッド大作に辟易してる向きにもぴったりだろう。
B級映画、プログラム・ピクチュアの悦びに溢れた一作と言える。

アクションはベッソン名物のカーアクション(パトカーチェイス)は勿論、アクション監督にコリー・ユンが参加しているので、ライブアクションもてんこ盛り。
基本的にフランクは銃を使わないので銃撃戦こそ不足してるが、そこは女殺し屋ノタ様がランジェリー姿で両手マシンガンを全編思いっきり炸裂させてくれてるのでガン好きはそちらでご勘弁を。(きっちりマグチェンジシーンもあります)

この頃のジェイソン・ステイサムはいい男だね。「セルラー」での悪党ぶりも中々良かったけど、本シリーズでは男っぽくてちょっと茶目っ気(子供とのなぞなぞのやりとりや車への異常な愛着、ボロボロになった服をきっちり着替えて敵地に向かう、など)も見せてくれまさに彼のための映画、という感じでノリノリで演じていてキモチいい。アクションのキレもなかなか。流石元運動選手。
この辺りで、今のステイサム像が確立されてるっぽい。「メカニック」シリーズも同じだもんね。

他の出演者では勿論、女殺し屋のケイト・ノタを語りたいところだが、意外にも我がハートを射止めたのは政治家の有閑マダム役を演じたアンバー・ヴァレッタ。長身、貧乳、スレンダーはベッソン好み三点セット、おとなの色香でフランクに迫る仕草はタマリマセン。
「最後の恋のはじめ方」に出てたってあったけど全然印象ないんだよなぁ。
そしてお目当てだったケイト・ノタ嬢だが、演技というよりは「見せる」事がテ-マという感じで、そのルックスはケレン味たっぷりだが、演技どうこうという感じではない。やられ方が可哀想ではあった。

また前作からのシリーズキャラであるフランソワ・ベルレアンがコメディ・リリーフとして利いている。いい表情しますわな。
彼は「24」におけるクロエのような役柄でもあり、ストーリーを進めるのに何気に重要なキャラでもある。

監督のルイ・レテリエは「ダニー・ザ・ドッグ」とかも撮っていて、後に「イクレディブル・ハルク」を撮るまでになる。いや、忘れ去られてるけど。ミスター・ベッソン組の職人監督。小気味よい演出で全く飽きさせずに見せきるのは見事(まぁ尺短いんだけどね)。一貫したスピーディな作劇術を持ってるよね。
唯一残念なのは、ストーリーの問題上、思ったよりもカタルシスを得られない落とし方になってる点。まぁこれはベッソンのホンのせいだわな。
週末に頭カラッポにして観るには最適。結果的にトリロジーになり、テレビシリーズも作られるようになった本作は、スケールばかりを求めないエンタメ思想で世界がどうの、人類がどうのとならないのが素晴らしいのだ。