ああおうえい

あるじのああおうえいのネタバレレビュー・内容・結末

あるじ(1925年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

初サイレント作品。初ドライヤー。優雅なBGMとは反対に家庭内虐待を強いられる女性が映し出され非常にアイロニカルで最初からつかまれた。このBGMは後半の夫が改心する展開とも合わさって何重にも意味合いが重なっていてすばらしい。演技にかなり依存する映画でありしかもサイレントなので声を使えないが表情で変化をつけていけるのが素晴らしい。背景中心というより画面いっぱいを使って顔のクローズアップで感情を見せていく。前半後半で関係性が変わっていく展開で早くキャラのリアクションを見たいと思ってしまう。あるじのほぼ家の中で完結しながら展開しきったのもすごい。キャラクターについて。コーヒーや用意したパンにいちゃもんをつける夫というキャラクターはどうしようもない夫を考えるうえで現代では少し陳腐で表面的のようにも思えたが時代性もあるしや表したいことが嫌いではなかったのでのれた。主人公のイダがいいキャラクターだと思った。夫からモラハラを受けまくってもやさぐれるのではなく夫に同情してしまっているところが包容力があり少なくともいい人には見えるし目を離せないキャラクターにしている。そんなキャラクター性を壊さないように周りの乳母や子供たち、医者が制裁を下しイダをもう一度家庭に戻させるように導いていくというところが巧いなと思った。若干メッセージ性が強く説教臭いところもあったが面白かった。
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