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デビルスピークのhorahukiのレビュー・感想・評価

デビルスピーク(1981年製作の映画)
3.3
まさに男版『キャリー』!
いじめられっ子の主人公が悪魔の力を得て、いじめっ子に復讐するオカルトスプラッターです。

あらすじ…
主人公は陸軍士官学校の学生。でも、鈍臭いせいで、生徒だけじゃなく教師や牧師からも嫌がらせを受けていた。ある日、嫌がらせでやらされた地下室の清掃中に古文書を見つける。それはかつて、悪魔崇拝により教会から追放された神父のものだった。そこには悪魔の召喚方法が記載されていて…。

現代的な技術であるコンピュータを使って、古のものである悪魔を召喚するという新旧をミックスさせたアイデアが秀逸な作品。儀式が進むにつれ、悪魔がコンピュータに乗り移ったかのような映像が、チープではありますが面白いです。

「血をくれ!血をくれ!」としつこいコンピュータ(というか悪魔)が何だか可愛いし、動物の血をやったら「違うよ!人間の血だよ!」と駄々をこねるあたりがもうね(笑)

前半はひたすらに主人公が嫌がらせを受け続ける悲惨な日常を見せつけられ、観客のフラストレーションを溜めて行く。そして、本作の見どころはクライマックス。地獄そのものを顕現させたかのような禍々しい異様な空間と、繰り広げられるショッキングでバイオレンスなスプラッターシーンは圧巻!中盤で、小汚い豚たちに食い荒らされる全裸美女なんてシーンもあります(笑)

ただ、ドラマ部分が弱い。『キャリー』の場合には理性が崩れ去るまでの描写に説得力があったのですが、本作の場合は引き金となるものがそのためだけに無理矢理登場させたものでしかなく、抑えていた感情の決壊に至るには少し物足りなく感じるんですよね。

人って内に秘めた暴力性を理性で抑えて生きていると思うんです。そして、その理性のハードルはやすやすと超えられるものではない。だからこそ本作のような映画では、理性のハードルを決壊させるまでの主人公の心理的変遷の描写は必須ですし、決壊の決め手となるシーンの説得力は凄く重要な要素だと思います。

そこがしっかり描けてたら『キャリー』に匹敵する傑作になっていたと思うだけに凄く残念。何よりも主人公がやたらと強気だから、あんまりいじめられてる感じがしないんすよね…(^_^;)
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