新作の時に観てお気に入りだった作品を再鑑賞。
はぁ…何がってスパッと言えないけどやっぱり第六感がいいと言う!
画家志望の青年が数年前に出会った女性シルビアの面影を求めてストラスブールの街を彷徨う。
ただそれだけ。
台詞はほとんどない。
カフェテラスで思い思いにお喋りする人々のざわざわ音
路面電車の音
通りを歩く靴の音
…孤独な彼と一緒にそういう本来ノイズである音に感覚が研ぎ澄まされる。
長回しカットの連続は陽光の温もりも手伝ってまったりと街の雰囲気に浸れる。
風の匂いを感じるような、ゆったりとした時間の中での人間観察。
目にも耳にも心地よい。
新緑や人々のアッシュブロンドの髪の煌めき
デッサンしながら捉えるいろんな女性の表情
風にめくられるノート
"シルビア"の歩く後ろ姿
…それぞれ印象派の絵画みたいな詩的な描写。
そして彼女が現れてからのドキドキ感がたまらない。
あんなに尾行して、冷静に見るとストーカーなんだけどw観てるこちらもシルビアに夢中だから気にならない。
街のベンチで彼が心ここに在らずな表情の横に座る人(その辺のおじさんやおばさん)が入れ替わり立ち替わりする画もシュールでいい笑
これといったストーリーはなくても全く退屈しない。
趣のあるストラスブールの街並みとともに彼の視線の冒険に囚われる。
シルビアは妄想だったのか?儚きときめきの記憶…
幻のような魅惑的な存在をチラつかせ、追わせる。でも言葉で語らない。
この演出自体が謎めいていて大好き。
※本作で真っ先に連想するミスチルソング…
『横断歩道を渡る人たち』
『フェイク』
『drawing』♡♡♡