むっしゅたいやき

タブウのむっしゅたいやきのネタバレレビュー・内容・結末

タブウ(1931年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ドイツ表現主義の巨匠、F.W.ムルナウの遺作であり、かつ出演者が全て現地の素人達だと言う異色作。
今回の舞台は欧州を遠く離れた南海ポリネシアのボラボラ島です。

衣食住に事足りて居た主人公が恋を知り、タブーを犯す事で貨幣経済の現実にぶち当たり、更なるタブーを犯す事になる、そんな負のスパイラルに心苦しくなりました。
後を追いラグーンを駆け抜けるマタヒの姿が切ない。

本作の大きな特徴の一つとして、会話の字幕がほぼ無い事が挙げられます。
手紙や請求書の文字のみ。
ただ、それで主人公達の感情や思いの伝達が阻害される訳では無く、寧ろ伝える情報を単純化し、あとは演者の表現に任せてしまう事でより一層観客への訴求力を高める効果が見られました。
ナレーションや説明台詞でストーリー構成の稚拙さを誤魔化している、昨今の作品に見習って欲しいところです。

ムルナウはこの撮影後、主人公を演じたマタヒと自動車に乗っている際に事故に逢い、この世を去ります。
タブウを犯してしまった作中のマタヒの後を追う様で、暗澹とした気持ちになりました。
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