結局カレー

花とアリスの結局カレーのレビュー・感想・評価

花とアリス(2004年製作の映画)
3.3
キリエの唄公開決定に際してYouTubeで限定配信されていたので再視聴。当時はピンと来なかったこの作品が纏う空気感をようやく感じられるようになったかな。簡単な言葉で申し訳ないけど現代の”エモ”は岩井俊二に通ず、って感じ。冒頭から走り回る女子中学生2人に視線が釘付けになるし、美しさで記憶に残るシーンが多い。柔らかく甘酸っぱい空気感を纏ったこの作品にファンが多いのも納得。

描かれる子ども同士の友情から女同士の友情への変化。なんなんだろうね、女同士って仲良くてたくさんの思い出がある関係でもポッと出の気になる男の登場で簡単に優先順位は変わる。男の方が友情と恋愛が切り分けられてる気がしてなんか羨ましい。あんなにアリスに振り回されていたのに花の世界は先輩中心に回っていくし、恵まれているところも多いけど家庭に居場所のないアリスの心の隙間は花では埋まらない。でも周りからどう言われようが2人は通じ合っていて、決して手放さないこの関係。こんなにもわかりにくくて、不安定で、かけがえのないものって他にないよね。優先順位云々は訂正しよう、この2人においてこの友情は別格だったね。

花とアリス。2000年代の蒼井優が纏う空気感はナチュラルで唯一無二だと思うし岩井俊二作品との相性の良さがピカイチ。一方でこの作品に個性を生んだのは鈴木杏の存在感だとも思う。この2人なくしてここまで大きな作品になってなかったと思うな。2人をずっと観てたい。