眠人

バトル・ロワイアルの眠人のレビュー・感想・評価

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)
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公開当時、社会的な議論を巻き起こしたディストピア&デスゲーム映画。全国の中学校から選ばれた1クラスが無人島に連行され、クラスメイトと殺し合いをさせられるといった内容。非常に有名な作品だけれど、今までしっかりと観たことがなかった。

映画が語ろうとすることは非常にわかりやすい。
無人島での殺し合いは、ネオリベラリズムに侵食された社会構造下での椅子取りゲームそのもの。劇中では殺し合いのための「武器」が生徒に配布されるが、一人一人「武器」の種類は異なる。銃やボウガンが配布される生徒もいれば、ハリセンや鍋蓋を配布される生徒もいる。明らかに「武器」として性能の優劣が存在している。「親ガチャ」さながら、人間は家庭環境や経済力、文化資本、身体能力等を選んで生まれることは出来ない。横一線、みんな平等な状態でゲームを始めることが絶対に出来ない、いわば「運」に左右されるゲーム。そのような正統性が揺らいだゲームでは「ゲームから降りる」「ゲームそのものを壊す」という選択が賢明なのかもしれないけど、いざそのゲームの中に放り込まれると、そんな選択肢も視界に入ってこなくなるのかもしれない。自分もこのゲームに強制参加させられたら初っ端から殺されていると思う。

作中で描かれる恋愛感はとても臭くて、正直観ていて気恥ずかしくなってしまった。そういった安直な感動を誘うような演出にはいまいち乗れなかった。

役者に言及すると、ビートたけしのサイコな演技力が冴え渡っていた。藤原竜也、山本太郎、柴咲コウ、高岡蒼甫、栗山千明、みんな若くて青臭さがあって、新鮮だった。
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