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バトル・ロワイアルのThortaのレビュー・感想・評価

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)
3.8
『仁義なき戦い』『蒲田行進曲』などを手掛けた巨匠 深作欣二監督の遺作となった本作。
中学3年生のどこかのクラスで最後の一人になるまで殺し合いをさせるBR法が可決された日本。その対象となった香川県城岩町立城岩中学3年B組の生徒によるバトル・ロワイヤルが始まる。

ゼロ年代のデスゲーム・ブームはここから始まったと言っても過言ではないでしょう。「勝たないと生き残れない、負けたら死ぬ」この日本社会の縮図を簡潔に表現したテーマながら、どこか投げやり感と責任放棄された気がして、なかなか私は好きになれない所でもあります。それもこの公開年の2000年が就職氷河期の渦中にあって、当時の学生がこの映画を見た時に何を感じたのか、すごく気になります。

ディストピア的な絶海の孤島に佇む学校、その教室に集められた生徒達、そこに突然現れたビートたけしに釘付けで掴みは抜群。ねちっこいクサイ演技をする生徒とは反対に淡々と喋るたけしの演技が際立ち、かろうじて映画を成り立たせてる。
映像面だと、ロングショットでの死体カットはカッコよく、ロケ地も素晴らしい。しかし、少しカメラが寄って登場人物が喋りだす途端にバカバカしいシーンになってしまう。どうやって死ぬかより死体になった姿を楽しみにしちゃうデスゲームものって、それでいいのか?

主人公たちのドラマもツッコミどころあり過ぎで、クラスメイト全員の死を親が死んだレベルで悲しむ藤原竜也は途中からギャグ。そして、映画の核となっていたビートたけしも途中からトトロみたいな立ち位置になっていく。元々国の法案で始まったバトル・ロワイヤルが何故かたけし個人の問題になっていく流れは流石にハテナだった。

でもやっぱり、世界観の設定は面白いので今リメイクすれば中々面白いものが出来上がるような気もする。まぁ、脚本を誰が書くか次第だけど。
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