ダイナ

オズの魔法使のダイナのネタバレレビュー・内容・結末

オズの魔法使(1939年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アメリカの傑作児童文学の実写映画化。セピアな現実からカラフルな世界に変わる演出は心をグッと掴まれます。仲間を集めて倒しにいくぜなノリは桃太郎を想起させられ、勇気・知恵・思いやりの大切さを説く教訓のようなテーマ性はまさしく寓話。

児童文学に言うのは野暮すぎますが、以下は映画から受け取った情報のみで思った事。

西の魔女との決着がかなり雑な印象です。せめて聖なる水だとか、魔女に攻撃目的でぶっかけるとかならまだしも、火を消そうとしたら意図せず水がかかってしまって撃退。ドロシーの家が東の魔女潰した件も意図してない所での功績で今回もこんな形。「また私なんかやっちゃいました?」みたいなトボケ感には苦笑い。それに桶一杯程度の水量で消えるのに魔女の警戒心が薄すぎる気がします。そしてガルチ夫人との確執はどうなったのか。

オズの世界で得た教訓が現実で生かされる描写を入れたかったり、国民達に嫌われるに値する魔女の悪行描写をもっと入れたかったりと思う事はたくさんありますが、不思議と本作を楽しめました。寓話カテゴリがもつ横槍入れようのなさと言いますか、ふわふわしているのにガッチリ型が完成しているように思えるからなのかもしれないです。余白や手の加えたくなる隙の多さが受取側の妄想を誘いますし、後発のリメイクしがいにも繋がるのでしょう。本作のオズの国スタジオ感は個人的にとても好きですが、現代の価値観やCGでリメイクしたものも観てみたくなります。関係ない話ですがバンカズのグランチルダってモロ西の魔女ですね。

また本作の評価とは関係の無い話ですが、ジョーダンピールの「NOPE」に影響を与えたという本作の過酷な撮影環境の話、確かなソース源が分からないのでどこまでが本当かはわかりませんが一部本当だとしてもかなり怖いっすね…。
ダイナ

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