ブタブタ

彼のオートバイ、彼女の島のブタブタのレビュー・感想・評価

彼のオートバイ、彼女の島(1986年製作の映画)
3.5
相米慎二監督・斉藤由貴主演の『雪の断章・情熱』に並ぶ擬似アイドル(?)実験映画。
イメージフォーラムでは『台湾実験映画の世界』という特集上映が開催されますが若し『アイドル実験映画の世界』という特集上映が開催されるとしたら前記の『雪の断章』等と一緒に上映して欲しい作品。(他には広末涼子『20世紀ノスタルジア』とか)
之は若しかしてJGバラード『クラッシュ』のバイク版を大林宣彦監督が撮ったのかも知れない。
『クラッシュ』は自動車事故とセックスを同一視する、世界初のテクノロジーによるポルノ小説(解説より)何ですが彼のオートバイ~の闇に浮かぶオートバイの冷たい輝きと其れを撫でる手つきとか明らかにバイクをフェティッシュな性的な対象としての撮り方やバイク同士の正面衝突しながらの騎馬戦みたいな勝負など『クラッシュ』を思わせるシーンがある。
原田知世・姉の原田貴和子さんの日本デビュー作品ですが、元々この原田貴和子さんが角川のオーディション受けに来て、一緒について来てた原田知世さんを見て、本来なかった「特別賞」を態々作ってまで知世さんを無理矢理スカウトしたのが角川春樹で結果的に大成功なわけで、角川春樹にとって原田貴和子さんはついでと言うかどうでもよかったのでは?
なので余り売る気がなかったのか、出てる映画も同時上映作品とか渡辺典子さんと同じく冷や飯食いな扱いが何となくします。
『少年ケニヤ』と同じく大林宣彦監督と角川映画は絶望的に相性が悪いのか、それとも実験的な事を角川は好きにやらせてくれるからなのか、彼のオートバイ~もカラーになったりモノクロになったりよく分からない映画です。
台詞が明らかに態とやってる棒読み、というより「相手に向かって喋ってるのでは無く皆本を読んでる」前衛演劇みたいな芝居。
それ迄素の状態だった人が感情が突然爆発する、カットの繋がりや演出の流れとか完全に無視してる、原田貴和子さん演じるヒロインも完全に「おかしい人」だし。
『スローなブギにしてくれ』に続く片岡義男✖角川映画・第二弾でヒットを狙ったのかもと思うも『幻魔大戦』に続く角川アニメ第二弾の『少年ケニヤ』がコケた様に之も大林宣彦監督のせいだけではないと思うけど同じ様にコケた。
しかしカルト映画だと思う。
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