1889年スウェーデンで実際に起きた事件を描いた悲愛ドラマ。
有名なデンマーク人女性綱渡り師と、貴族出身のスウェーデン陸軍中尉が恋に落ち、逃避行に出る。
「お互いに相手の目を借り合うべきだ。世界を経験したいと同時に、恋人の経験も知りたい。愛する人の見る世界を知りたい。それが愛じゃないか?」
アメリカン・ニューシネマ的な不倫逃避行劇。優雅で幸せ全開な冒頭をピークに生活は厳しくなっていくが、それと反比例するかのように、二人の愛は絶対的なものになっていく。
圧倒的な映像美と、モーツァルト・ピアノ協奏曲第21番と、若い男女の不倫ドラマ。コンセプトこそ違えど、アニエス・ヴァルダ監督『幸福』から多大な影響を受けていると思われる。
何よりもまず、映像の美しさに驚かされた。カメラの質なのか、撮影技術なのか、編集技術なのか、詳しくは分からないが、60年代の映画だということが信じられないほど画質が高く、色鮮やかだった。特に、自然風景は絵画を切り取ったかのような美しさで、二人が海辺に佇むシーンは、モネの「印象・日の出」を想わせた。ちなみに、撮影監督は『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の方。
音も良い。本作に因んで"Elvira Madigan"とも呼ばれるようになったモーツァルト・ピアノ協奏曲第21番だけでなく、鳥のさえずりや、川の音、風に揺れる草木の音など、自然音が効果的に使われていた。
敷居が高い気がして敬遠していたけれど、イングマール・ベルイマン作品を観なければと痛感した。
あと、『明日に向って撃て!』にがっつり影響与えてない?めっちゃそっくりやん?
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