Mikiyoshi1986

みじかくも美しく燃えのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

みじかくも美しく燃え(1967年製作の映画)
4.6
5月1日はイングマール・ベルイマンと並び、スウェーデン三大巨匠の一人に数えられるボー・ヴィーデルベリ監督の没後20年目に当たります。
生きていれば来月で87歳。

そして公開から今年でちょうど50年を迎える本作「Elvira Madigan」は、実際の心中事件を元にヴィーデルベリが切なくも美しい駆け落ち映画に仕上げた"名画"であります。

綱渡りの女芸人エルヴィラ・マディガンと陸軍中尉で妻子ある伯爵シクステン・スパーレの駆け落ち心中は、ヨーロッパでは「世界三大心中」に挙げられるほどだそうで。

そのエルヴィラを演じたピア・デゲルマルクの眩いほどの美しさ!
彼女の美貌は私が観てきた映画ヒロインの中でも5本の指に入るほどの絶世の美女です。ほんとドタイプ過ぎて狂おしいくらい。
そんな彼女は本作でカンヌ映画祭・主演女優賞を見事に受賞。

北欧の穏やかな日差しの中で鮮やかに浮かび上がる木々草花の緑。
春の陽気に包まれ、小鳥のさえずりと虫の羽音が野原一面を包み込む。
エルヴィラの金髪が陽光で美しく光輝く。
そんな多幸感いっぱいの瞬間的な安寧をカメラに収め、モーツァルトとヴィヴァルディの優雅な楽曲がシーンを彩ります。

自然光を多用し、被写体を輝かしく魅せるテクニックも素晴らしい。

「愛」のみを頼り、すべてを棄てて逃避行を続ける二人ですが、やはり平穏は長く続くものではありません。
貧困と飢えに苛まれ、現実が二人を窮地に追い込んでゆく過程はとてつもなく切ない。
鮮やかな緑のトーンも次第に暗くなっていき、再び緑が芽吹く衝撃のラストシーンは鳥肌モノ。
Mikiyoshi1986

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