マーくんパパ

ヘンリィ五世のマーくんパパのレビュー・感想・評価

ヘンリィ五世(1945年製作の映画)
3.6
世界初のシェークスピアカラー作を名優L.オリヴィエが自ら監督した映画史的には特筆される作品。1番の見処はグローブ座での「ヘンリー5世」舞台上演から始まりカメラが狭い舞台から徐々に外に抜け出しクライマックスのフランスとの大合戦では大丘陵を存分に使った絵巻物になっていくこと。あくまで劇場内で観客が観ている戯曲である事を崩さず俳優たちのセリフ廻しも大仰な舞台セリフで通している事が目を惹く。オリヴィエの朗々とした発声は千両役者の赴き、戦闘シーンの騎馬部隊の進撃(真横カメラからの隊列崩さず徐々にスピード上げてく疾走感)は今観ても迫力十分です。制作年度からコレも一種の戦意高揚映画とみる向きもあるようだが、それよりもこの戦時下でこれだけの衣装、馬具、エキストラを動員して作る意欲、国力の凄さ(フランスの『天井桟敷の人々』しかり)に感じ入る。