キャッチ30

パピヨンのキャッチ30のレビュー・感想・評価

パピヨン(1973年製作の映画)
4.1
『パピヨン』は脱獄モノだが、苦痛に満ちた映画だ。『大脱走』のように快活ではないし、シリアスな気配が画面を支配している。

舞台は1930年代のフランス領ギアナ。沖合に浮かぶ監獄島に、パピヨンは無実の罪で投獄される。パピヨンは自由への渇望を捨てず、脱獄を繰り返す。パピヨンと組むのは囚人仲間のドガだ。ドガは国債偽造の廉で逮捕され、パピヨンとは正反対に知恵はあるが体力は無いに等しい。

監督のフランクリン・J・シャフナーは極限の状況下で俳優たちを追い込む。中でも、パピヨンに扮したマックィーンの働きには目を見張る。今作はマックィーンのベストアクトじゃないかと個人的に思う。特に、中盤で独房に入居している辺りが良い。正気を保つ為に歩数を数えたり、虫を食べながら飢えを凌ぐという生への執着をこれでもかと体現している。ホフマンとの掛け合いも良い。