くろーぜっと11

東京画のくろーぜっと11のレビュー・感想・評価

東京画(1985年製作の映画)
3.5
80年代の東京の本質が見られる貴重な映像ではないだろうか。

小津安二郎を敬愛してやまないドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが、80年代の東京の姿に眩暈を覚えながら、小津の墓や小津映画の関係者にインタビューするドキュメンタリー。

今で言うところの聖地巡礼をしに東京へ来たんだけど、冒頭、小津映画の中にあった東京とのあまりの違いに(20年以上の年月が経っているしもちろん分かって来てるんだけど)頭がクラクラしてくる感じが面白い。現実より夢が勝っちゃって頭がパニくる感じというか。

で、パチンコ屋に一日中いたりゴルフの打ちっぱなしを長々と撮影したり、あてもなくテレビのチャンネルを変え続けたりして、現実感の喪失からの哲学的なモノローグが静かに語られていく。

なんとも言えない気分にさせる映画だった。ありがたい。