垂直落下式サミング

子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.7
柳生一門との因縁に、ついに決着をつけんとするシリーズ第六作目。
これまでのシリーズでは、あまり掘り下げられてこなかった柳生側に観客の共感を求めていく作品であり、柳生烈堂が拝一刀に殺された子らを思い嘆き、復讐の成就を誓いながら、生き残っている娘や妾の子に助けを求めに行くなど、烈堂もまた人の親だということが強調される。拝一刀許すまじと、柳生一門は総力戦を仕掛けてくるのだ。
しかし、本作の柳生烈堂は、黒い頭巾を被っていると汚ねえサンタクロースにしか見えないし、ムソルグスキーの「禿げ山の一夜」をBGMに登場するなど、かなりコミカルな一面をみせていく。シリーズの途中で演じる役者が変わったこともあって、一作目の怪人物という印象は消えて、単なる悪の親玉イメージが強くなっている。
『親の心子の心』では多用されていてクソダサいと感じた人物の心の声ナレーションを今回も入れてしまっているが、これは漫画をそのままやろうとするからこうなっているんだろう。比べちゃ悪いが、やっぱり三隅監督の職人的な上手さがわかる。1や2にはこんな描写ないし、あっても気にならなかったもんな。
土蜘蛛軍団によって追い詰められ、柳生スキー軍団との雪原の決闘、雪車になって雪山を滑り降りる乳母車、グレネードランチャーで爆死する女、唸るマシンガン、乳母車が用途に合わせた変幻自在なトランスフォームをみせるなど、見所は多い。拝一刀、吼える!
でも、子連れ狼は北大路版世代の私は、大五郎が爆竜戦隊アバレンジャーとタイアップする様子を目の当たりにしている。そんじょそこらのキテレツさじゃあ驚かない。
このお祭り作品をもって若山富三郎版は終了となるが、一応は続けようとすれば続けられるような終わらせ方をしている。代表作だもんね。わっしょい。