ちろる

天地明察のちろるのレビュー・感想・評価

天地明察(2012年製作の映画)
3.6
星を仰いで、その謎を解く

唐の時代からの800年の間、同じ暦を使用していた江戸時代、大きなズレが生じていた。
時を司るすなわち国が収まるということ
ただし暦とは権威でもある。

星と算術が好きな安井算哲は好きという事でだけで改暦の大仕事を賜ることになる。

大和暦というものを世に広めるために命をかけた算哲の半生を描いた作品。

殺陣など、激しいアクションシーンがない部分で好ききらいが分かれるかもしれないが、間違いなく壮大なスケールの時代劇青春エンタテインメントである本作。
わたしは神社へ出向き、それぞれの神社の暦の本を手に入れるが大好きなのだが、この月の満ち欠けや、潮の満ち引き、そして二十四節気などを織り交ぜた、当たり前にあるこれらの素晴らしさ暦も、こう言った先人たちの血と汗によって作られたと思うと心がじんわりとする。
結果的に、大和暦にたどり着くには、囲碁、
日本独自の暦、算術、天文学、政治や宗教、など、さまざまなものがどれも欠けずにあったからなのだということには驚かされた。

算哲達は土地の位置を測る北極出地のメンバーに選ばれ、日本全国を回るのだが、映し出されるその大自然の映像たちが美しい。
時に人間に厳しき雨嵐の様子もまた、日本のこの美しさを語る上では欠かせないものなのだと言うことも思い知る。

ちなみにこの作品、配役が素晴らしい。
主演の岡田さんの熱演も素晴らしかったんですが、保科正之公を演じた松本幸四郎さん、そして建部伝内、伊藤重孝を演じる笹野高史、岸部一徳のベテランの演技は安心して見る事ができる。

冲方 丁の原作小説はまだ読んだ事がないし、おそらくここで描かれる以上の壮大な物語がそこにあるのだと思うと、読むのが楽しみ。
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