もちお

武士の一分(いちぶん)のもちおのネタバレレビュー・内容・結末

武士の一分(いちぶん)(2006年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

 久々に邦画を観ました。
 本作は初鑑賞です。
 原作未読です。
 『たそがれ清兵衛』、『隠し剣 鬼の爪』を観た上で、本作を鑑賞しました。

 いい映画でした。
 どんどん追い込まれていく三村夫妻を観ていて、苦しくなりました(誉めています)。

 以下では、『たそがれ清兵衛』と『隠し剣 鬼の爪』の内容にも触れています。
 ご注意ください🙇

①良かったところ
・追い込まれていく三村夫妻
 序盤は「少し軽いかな。」と思ってしまいました。
 ただ、観終わってから振り返ると、「あの平穏な日々が愛おしい。」と思うようになりました。
 個人的に一番つらかったのは、島田さんがお上に進言をしていないことが発覚した時です。
 気分が悪くなりました。

・新之丞さんが自殺しようと刀を探す場面
 胸に迫るものがありました。
 目を潤ませながら観ました。

・悪役
 島田さんが最低でした(誉めています)。
 序盤は人当たりがいいので、油断してました。
 憎らしかったです。
 いい悪役でした。

・小まめに顔を出してくれる山崎さん
 気さくな人でした。
 好きです。
 毒味の際、隣の人に「何を食べた?」と聴くところから良かったです。
 そして、新之丞さんの家に小まめに顔を出してくれるところが素敵でした。
 いい人だと思いました。
 しんどい場面が多い本作において、救いとなる存在でした。

・徳平さん
 新之丞さんを支える姿にグッときました。
 徳平さんが登場すると、安心感がありました。

・桃井かおりさん演じる叔母
 嫌な役でした(誉めています)。
 加世さんに関する噂を新之丞さんに話す場面で、イライラしました。
 素晴らしい演技でした。

・修行シーン
 師匠との修行シーンがあって良かったです。
 練習描写があると、その後の本番がより盛り上がります。
 緒形拳さんの落ち着いた演技が素敵でした。

②気になったところ
・台詞で「武士の一分」と言い過ぎる印象
 個人的には1回にとどめて欲しかったです。
 たしか3回ほど「武士の一分」と台詞で出るのですが、少しくどいかなと思いました。

・果たし合い終盤での台詞
 師匠からの教えを新之丞さんがもう一度言います。
 親切だとは思いますが、私は言わないでほしかったです。
 それまでの描写で十分に伝わっていました。

・新之丞さんが島田さんに勝った理由
 精神論と言いますか、心構えで勝ったのだと思います。
 それも良かったのですが、『たそがれ清兵衛』や『隠し剣 鬼の爪』と比べると、勝った理由に明快さはないのかなと。
 『たそがれ清兵衛』ですと、小太刀だから勝てたという明快な理由に、感動しました。
 『隠し剣 鬼の爪』ですと、宗蔵さんが師匠と練習した技で狭間さんを斬るところで、盛り上がりました。
 過去2作と比べると、本作は少し物足りなかったです。
 
・「鳥かごを焼いて家に入る新之丞さん」で終わりの方が好み
 本作の終わり方も好きです。
 ただ、個人的には「鳥かごを焼いて家に入る新之丞さん」で終わった方が好きです。
 徳平さんが飯炊きの女性の話をした時点で、「加世さんが戻ってくるのかも。」と思いました。
 そのため、家に入って終わりであれば、「加世さんが戻ってくるかもしれないし、戻ってこないかもしれない」という着地です。
 特に加世さんが戻ってこない可能性を残すことで、「島田さんを斬った意味とは……」という苦さが強調された気がします。
 ただ、私の望む終わり方ですと、観客を突き放しすぎだなとも思っています😅

・新之丞さんが怒鳴ると、現代劇がちらつく
 新之丞さん役の木村さんの演技ですが、とても良かったです。
 特に視力を失ってからの影のある演技に魅せられました。
 ただ、怒鳴ると、現代劇のように聴こえてしまいました。
 個人的には、時代劇感が薄れてしまうことがありました。

③まとめ
 いい映画でした。
 観て良かったです🙇

④時代劇三部作の鑑賞を終えて
 どの作品も素晴らしかったです。
 全て好きです😊
 あえて好きな順番で並べますと、以下のとおりです。

・『たそがれ清兵衛』
・『隠し剣 鬼の爪』
・『武士の一分』

 時代劇の魅力を改めて感じました✨
もちお

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