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新選組血風録 近藤勇のmitakosamaのレビュー・感想・評価

新選組血風録 近藤勇(1963年製作の映画)
3.8
歌右衛門が近藤勇を演じる今作。例によってこの時のウタさんが56歳で威厳ありすぎ。
だが映画としてはとても見応えあった。司馬遼太郎の小説より油小路の決闘をメインにした構成がとても新選だった。

物語は池田屋事件・蛤御門の変を経て、新選組が勢いづく所から始まる。
池田屋でウタさんが「新選組近藤勇、介錯いたすぞぅ」って喜々として人を斬るさまに狂気を感じさせる素晴らしいスタートだ。
土方が「ヨシ判った!」の加藤武。粗暴な感じがタマラン。というか新選組全体に野蛮なヤカラ感が漂っているのが実に良い。変にヒロイックな集団じゃ無いのがリアリスティックに感じる。

そして伊東甲子太郎を参謀として迎える。伊東を演じるのがなんと阿部徹だ。ヤクザ映画の悪役のイメージが多い俳優だが、今作は腹に一物ありながらも信念も強いインテリジェンス溢れる役柄を好演してる。

もう一人メインとなるキャラクターが篠原泰之進だ。伊東に付いて新選組に入隊するが、そもそもノンポリで政治的思想は無い。だがザックバランとした性格で近藤には気に入られている。よく知らないのだが、一応実在したらしい。
この役に木村功だ。七人の侍の勝四郎。純朴な性格がよく似合う。

とにかく粗野な新選組がどうも肌に合わない篠原泰之進。山南敬介も腹を切らされちゃうし、武田観柳斎は暗殺させられる。

伊東の脱退と共に篠原も新選組を抜けるが、そこで龍馬の暗殺事件(近江屋事件)。
土佐藩と伊東一派は新選組の仕業とし、近藤暗殺を狙う中で篠原も近藤に詰め寄る。

伊東暗殺(油小路事件)からの天満屋事件をクライマックスに物語は終わる。これも珍しい。
新選組映画のラストにコレを持ってきてる映画って他に無いんじゃ無いかな?
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