みかんぼうや

スモークのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
3.8
20年以上前に観て、オムニバスがあまり得意でない私も「いい映画だ」という印象が強く残っていたオムニバス作品。なのですが、何しろどんな話だったか全く覚えていない(私、オムニバスだと話の内容をかなり忘れがちなのです)。

ということで、再鑑賞するも、ラスト20分までは「この作品、本当に観たことあったかな?他の作品と勘違い?」と思うほど記憶に残っておらず、完全に初見状態でした。

が、ラストのオージー(ハーヴェイ・カイテル演ずるたばこ屋の亭主)のクリスマス・ストーリーが始まった瞬間、「これだ!」と、なぜこの作品にとても好印象だったかを思い出し、20年以上前の記憶が一気に蘇りました。ラストにかかるクリスマスコーラスのような音楽もなんとも懐かしくノスタルジックな気分に浸ってしまいました。やはりこのエピソードが素敵すぎる。実は、それまでの話の流れとそこまで脈絡はないし(それまでとの繋がりは“カメラ”くらい)、ベタな感動話だけど、オージーのキャラクターやハーヴェイ・カイテルの絶妙な語り口、映像の雰囲気もあって、シンプルにクリスマスエピソードとして心温まります。

私は嘘や隠し事は基本的に嫌いですし、何しろ嘘をつくのがとても下手なのですが、この作品を観た後だと、やはり“世の中に必要な嘘”や“人を幸せにする嘘”もまた、人生や人の倫理観における大切な一部なのだな、なんて思ってしまいました。
みかんぼうや

みかんぼうや