愛

スモークの愛のレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
4.0
クリスマス映画として挙げられることは少ないかもしれないけれど、本のページが捲れないよう片手で抑えながら丁寧にタバコに火を灯す所作のような、そんなクリスマスの物語。

匂いの霊感がある私は、生霊を匂いでキャッチしたり自分への影響力を嗅ぎ分けたり死臭を感知したりと、何かと匂いに関して過敏(昔は皆そうなのだと思っていた)なのだけど、そういうのを抜きにしても嗅覚と記憶は密接な関係にあり"幻嗅"というものが存在し、タバコを題材にした映画や歌が多く生み出されるのは、きっとそういうことなのだろう。

情景を思い出すように味合うタバコ。物語とその時々の情緒によって変わる味と煙の重さ。悲しい嘘、優しい嘘、濡れたタバコ、痺れるタバコ。
時にはあえて煙に巻かれたって良い。掴めないとわかっていながら必死で追いかけても良い。そういう不甲斐ない日常が溢れているから、確かな手触りと温度があるものに愛着し安堵する。

クリスマスって当日特別はしゃぐわけではないんだけど、これが終わったらまた1年後かと思うと少しさみしい。それは毎日同じなのにね。
3年前はKFC、マック、コンビニ、世に出回っているクリスマス商戦のチキン達をかき集めて食べ比べする大会(ケンタは殿堂入り、モスチキ大優勝)を催した気がする。一昨年と昨年は「クリスマスらしくないことをしよう」と成田でお詣りして鰻を食べた。今年はまさかの、予定をドタキャンされたのでその相手を豚肉ブロックに見たて滅多刺しにして(パンチェッタ作りです)、ハロウィンが終わった瞬間から飾りつけ始めていたクリスマスツリーを片付け、グレイズアナトミーマラソンをしました。
と、覚えているのはきっと"クリスマス"という名前がつけられた1日だからなのだろう。覚えておきたいことだけ都合よく覚えておこう。覚えておきたい日には名前をつけよう。
愛