眠れないよ

スモークの眠れないよのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
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働いた後、麺を啜って、クリスマスイブの新文芸坐に駆け込んだけれど、映画館のシートに埋もれて開始数分でぐっすり眠ってしまった。だからクリスマスに、ケーキを食べながら配信で観た。

宿のない青年を泊めてやること。自分の娘かわからないのにお金を差し出すこと。殴られても居場所を教えないこと。貧しい生活の中でそれでも他者を雇ってやること。盲目の老婆のために孫のふりをすること。

他人を思いやる人の優しさが溢れている。

ケーキの箱を大事そうに抱えて帰る人や、手を繋いで笑い合う二人、子どもたち。サンタの帽子を被って誰かを待っている人。
みんな誰かを想っている。いつもみんな誰かを想って生きているけれど、クリスマスはその気持ちが分かりやすく可視化されて、みんなの幸せをお裾分けしてもらえているような気分になる。一年でいちばん、誰もが大切な人を思い浮かべるような顔をしているから、クリスマスが好きだ。

クリスマスじゃなくても、毎日こんなふうに街が優しさで溢れていればいいのにと思う。クリスマスは特別な日だけれど、優しさは特別じゃなくてもいいような気がしている。クリスマスじゃなくても、私たちは他人に優しくいよう、優しいふりでもきっといい。
眠れないよ

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