灰

スモークの灰のレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
3.8
煙草映画の最高到達点の一つ。

作中ではあらゆる嘘が登場する。その嘘は時に他人をトラブルに巻き込み、時には大切な人を遠ざけ、たまには誰かを幸福にする。そして真実は吐き出した煙草の煙と共に空に消えて無くなり、どこへも届かない。

映画では親子の再会が反復して取り上げられるが、その衝突は描写されても、和解は描かれないのが、脚本のポール・オースターと息子が辿ることになる複雑な関係性を思うと味わい深い(ポール・オースターの息子は映画にも煙草屋で万引する白人の少年役で出演してるとのこと)。

家出してスラム街のダメ男とドラッグに溺れながら暮らす17歳のフェリシティが、会いに来た両親をクソミソに嘲笑し追い出したあとに浮かべる複雑な表情が印象に残った。

劇中で流れるトム・ウェイツの「Innocent When You Dream」が素晴らしい。

you're innocent when you dream
when you dream
when you dream......
灰