らんら

ダークナイトのらんらのネタバレレビュー・内容・結末

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

何度も観返したくなる名作。
個人的にアメコミ映画ってなんだか世界観に入り込めなくて苦手なのですが、この作品はかなり入り込めましたし、凄く好きです。

そもそも「バットマン」がそこまで王道のヒーローという訳ではなくダークヒーローの面が強くて、作中でも彼の存在に賛否があったり警察が裏で手を組んでいたりと私刑を賛美していないところがちゃんとリアルで、ベースの設定が凄く良いです。
異次元的なパワーを持っていたりする訳でもなく、財力のある上流階級の人間が自分の富を使って悪人を罰していくというのも非常に合理的で納得できます。

ストーリーも役者も世界観も完璧で、すごく面白かったです。悪役が魅力的な映画は総じて名作だと思うんですけど、この作品はまさにそうで、「ジョーカー」というキャラクターに終始釘付けになります。

一見めちゃくちゃなことをしているようで、一貫して人の倫理観や道徳を試すような言動をしているのが面白い。
ただの「悪役」ではなくて、ジョーカーというキャラクター自体がしっかり確立されていてとても深みがあります。
彼の言動の裏にはちゃんと行動理念があるようにも見えたり、むしろただ人を翻弄して楽しんでいるだけのようにも見えたり、この掴めなさがピエロの風貌と合っていて凄く素敵です。

言わずもがな、ヒース・レジャーの演技は圧巻です。初見では彼の演じるジョーカーに目を奪われてしまいますが、観返すとゲイリー・オールドマンやモーガン・フリーマン、そしてバットマンのクリスチャン・ベールが凄くハマり役でめちゃくちゃかっこいいことに気づきます。

そして私がこの映画で最も好きなのがハービー・デントというキャラクターです。
バットマンと対比して描かれており彼は表の世界で正義を遂行しようとします。完全に光属性の人間だったのに絶望と不条理を叩きつけられることによって闇堕ちするのがとても良かった

彼はバットマンやジョーカーと違ってとても人間味のあるキャラクターで、彼の存在が人間の唱える「正義」の脆さ、バットマンの不完全さを表していて素敵です。
顔の半分が焼きただれるのもシンボリックで、人間は誰しも光の中に闇を、正義の中に悪を併せ持っているということを暗示しているように思えます。どれだけ崇高で清廉潔白 な人間でも、彼のようになり得ると。
この作品のテーマを明確に表したキャラクターで凄く好きになりました。


最後まで捻られていてずっと面白かったです。
らんら

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