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ダークナイトのEDDIEのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.7
裏の裏をかく脚本。そしてジョーカーという史上最高級のヴィランが誕生したヒーロー映画の傑作!

「バットマンビギンズ」を観ていないという理由で、この名作をずっと観るのを我慢していました。アベンジャーズをはじめとしたこのヒーロー映画最盛期において、2008年に公開された本作はかなりの異作と言えるでしょう。
何と言ってもジョーカーを演じるヒース・レジャー。彼の存在感、なりきり具合が凄まじく、映画の世界に没入させられます。
いやはや多くの方々が名作と言う所以がわかりましたよ。ジョーカーという最高に魅力的なキャラクターがおりながら、主役バットマンを軸にした脚本も秀逸。
まずジョーカーの初登場のシーン。ピエロのマスクを被った強盗たちを束ねる親玉で裏でデーンと構えてるのかと思いきや、彼ら強盗はただの駒でしかなく、実はその中にジョーカーが紛れ込んでいたという。いきなりの登場に驚きつつも、彼のキャラクターに心を支配された気分になりました。
銀行の支店長を演じるのもウィリアム・フィクトナーで、彼も本編にそれなりに絡んでくると思いきやあっさりとジョーカーにやられてしまう。「プリズンブレイク」シリーズでマホーン捜査官を演じた彼の登場に胸踊ったのですが、あまりにもあっさりでしたね。

そして、本作の秀逸な点はバットマンの描き方。街を守るヒーローでありながら、序盤ではバットマンの真似をした犯罪者集団が横行し、果たしてバットマンは正義なのか、世間に受け入れられているのかという本質的なところから入ります。
あとはジョーカーという凶悪な犯罪者を生み出してしまったとばかりに責められる対象に。よき理解者でもあるゴードン刑事も殉職してしまい、彼の妻子供からは非難され、もはやバットマンの味方は執事のペニーワースと元恋人レイチェル、ハービー・デント検事、ルーシャス・フォックスぐらい。結局のところゴードンは…でしたが!
他のヒーロー映画に比してまず正体は明かせない上、ジョーカーという絶対的ヴィランにより窮地に陥り、バットマンを辞めるところまで追い詰められてしまいます。
そして、本作のタイトルにもなっている「ダークナイト」がまさにバットマンそのものを表す表現だったと思うと、意味の深さを感じ、かつ胸を締め付けられるような思いに駆られます。要はヒーローって辛いってことです。

トゥーフェイスの登場やレイチェルの死、バットマンことブルース・ウェインはどんどん窮地に立たされます。
ジョーカーを捉えたと思っても、その後にさらにその裏をかいた策略に騙される。
それにしてもジョーカーだけに終わらず、トゥーフェイスというスーパーヴィランまで登場させるんですから、そんなてんこ盛り状態でまったく渋滞が起こらない展開は見事です。

いやー、本当にとんでもない作品ですよ、これは。文章もなかなか纏まらない(笑)読みづらくてすみません。
最後の「彼はヒーローじゃない。沈黙の守護者。我々の監視者。闇の騎士(ダークナイト)だ」というゴードンのセリフがいい具合に物語を締めくくりました。素晴らしい、もうその言葉しか思い浮かびません。
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