前髪メガネ

ダークナイトの前髪メガネのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
5.0
クリスティン•ノーラン版バットマン2作目。
評判通りの面白さ。

自警で始めたヒーローの設定として最高の展開。
バットマンの執行した正義の影響で誕生したジョーカーの脅威の構図がまさに好みのヒーロー映画のパターン。
力で悪をねじ伏せるバットマンに対して市民の恐怖と悪党の反発関係はとても自然で、ヒーローを無条件に善とさせる他の作品とは太い線で分けられている。ジョーカーがキレてる悪だから相対的にバットマンが善に見えそうなのにその様には絶対に見えない。本作の場合、わかりやすくバットマンがジョーカーを探し出すために関係のない町中の電話をも勝手に傍受する様子なんてまさに悪で悪を捌く行為。ジョーカーを捉えての取調も過剰な尋問だし、みんなの持つ所謂“ヒーロー像“を揺らがせる様な作品。
正義とは何か、正義の先に生まれるものが平和であるとは限らない。そんなことを考えさせられる。
そして最も残酷なのがデント検事。デントは真っ向から悪に立ち向かう検事として描かれていて唯一の真っ直ぐな正義の象徴にもなっていたのにひっくり返ったら真逆とも言える暴力性。見た目のショッキングさもあるがあの正義心の曲がり方もある意味真面目に生きてきた人間らしさがある。
最終的に明確な正義の不在でエンディングを迎え正義とは何かを考えさせられる内容で所謂"ヒーロー映画"にしてしまわない想いが伝わる。

ストーリーもそこまでしっかり深いのに、映像での迫力も凄かった。ダークナイトでの有名シーンと言えば病院の爆破とトラックの前転シーン。どちらも実際に爆破前転させているからこそのインパクト。何度も観たくなります。そしてバッドポッドによるチェイスシーンもワクワクさせられます。

と色々上げつつも1番凄いのはジョーカーを演じたヒース•レジャーの怪演。これこそ怪演。ジョーカーに宿る深い闇を表現しきってジョーカーを"悪役"の域を超える存在にまで作り上げている。
前髪メガネ

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