男と女はいつの時代も分からないもんだな。
本当は歩くことはできながらも、車椅子に乗るふりをしてフランキーを苦しめるゾシュは悪妻の典型である。
カード賭博と麻薬に溺れる状況は嗜癖(しへき)行為であり、この関係はお互いが依存し合う共依存に近いものかもしれない。
小気味良く流れるモダンジャズが物語の進行に邪魔にならず、臨場感にメリハリをつけていた。
ホイッスルが伏線であり、ゾシュの怒りによる代償なのだろうけど、キャンキャン叫ぶよりもどこまでも陰湿でフランキーにまとわりついた不気味な終わり方だった。
フランク・シナトラといえば白髪の好好爺が「マイウェイ」を歌うイメージしかないが、この映画ではとても若々しかった。そして不安定な主人公を見事にやり遂げた。(当時としても麻薬中毒者を題材にするのは物議を醸したようだ。)
職業病なのかソール・バスのシンプルながらも印象が残るポスターやタイトル・シーケンスには目を見張るものがある。近年のコンピューターで作られた平坦なデザインよりも人間味のある線やタイポグラフィには暖かさを感じることができる。そして彼は印刷のみに完結せずに、映像と連動をさせる事で宣伝効果を底上げさせる方法論(マルチメディア戦略)の先駆者である。
下記のリンクにソール・バスがデザインをした当時のポスターが掲載されております。
http://www.cinemasterpieces.com/92010/mcl51.jpg