千利休

アレクサンダー大王の千利休のレビュー・感想・評価

アレクサンダー大王(1980年製作の映画)
4.4
超絶。相当な長さだが、体感は一瞬。この世に存在する歴史物映画の中で、この作品が一番テクニカルな事を行っていると思う。イフで歴史を作り変えるのではなく、時代も大きく異なった史実を合体させるという荒業は、常人には出来ないだろう。単体でも大して知らないギリシャ史が合体するため(そこにどれほどフィクションが介在しているかは不明)、ストーリーの把握は困難を極めるが、圧倒的に美しいショットの連続だけで伝わってくるものがある。定点での長回しはさほどなく、アンゲロプロス作品にしては割と動かし続けているため冗長さなど全くなく、ひたすらに没頭できる。また、絶対に人間の頭が画面から飛び出るほどにはアップしない距離感を徹底しているため常に俯瞰的で、自国の歴史を描くに当たっても下品さが全くない。まるで一本の長い歴史物絵巻を見ているよう。それでいて特に後半はファンタジックな表現も多く、ラストはあれ『幕末太陽傳』の例のボツラストとやってることは同じじゃないだろうか。メタ表現を避けないことで逆説的に強調される史実というものが確実に存在する。自国の歴史を描こうと思う全ての映画作家は、まずこの作品を観て様々なことを考えるべきかもしれない。
千利休

千利休