「旅芸人の記録」をまた観たので、続けてテオ・アンゲロプロス監督作品を観る。「アレクサンダー大王」は3時間半弱なので、疲れたけれども最後まで観る。
かなり不思議な終わりだった。アレキサンダー大王(オメロ・アントヌッティ)の存在は、幻影だったのか、と、これは何かの象徴なのか、と思わせるようなものだった。
初めは、熱狂的に受け入れられたはずのアレクサンダー大王だけれども、段々、独裁的になって、次々に相手を始末していく。なんで村人が反撃しないのだろう、機会はあった筈なのに、と思ったが。
そういえば、アレキサンダー大王自身は、初めから感情移入を敢えてさせないような、ちょっと突き放した描き方になっていて、敢えてそうしたのだという気がする。
アンゲロプロスによると、これは、社会主義の終焉を寓話的に描いたものであるとのことで、それもラストに関係しているのだろうと思われた。 少し、ウトウトしたけれども、長回しによる圧倒的な映像と迫力だった(2021.12.29)。