2年ぶり2度目のテオ・アンゲロプロス週間が始まった。今回のラインナップは『狩人』『アレクサンダー大王』『蜂の旅人』『シテール島への船出』、合計642分。がんばります。
歴史伝記映画かと思えば、かなり現代的なポリティクスを描いたのが『アレクサンダー大王』。理想郷の挫折、執政者の孤独。不可避的な破滅へと、淡々とコマを進める群衆。畳み掛けるような熱量と分裂症的な語りで、独裁者の魔術的現実を描いたのがガルシア=マルケス『族長の秋』だとすれば、アンゲロプロスの『アレクサンダー大王』はそれと対称的な方法論に根付いている。寓話のごとくシンプルで、神話のごとく遠い。曇り空の灰色、あるいは雪原の白。