ハマジン

アレクサンダー大王のハマジンのレビュー・感想・評価

アレクサンダー大王(1980年製作の映画)
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すぐれた「歌合戦」映画はそれ自体すぐれた政治映画であることを証明している作品。

持続した長回しのショットが頻出するけれど、キモはむしろ次のカットへ移る際の「素早さ」の方にあると思う。人質の女性への暴行のかどで捕えられた村の男の顛末を、途中の人民裁判の手続きを一切すっとばして犯行現場からいきなり絞首刑の瞬間へとつなぐ編集の思い切りのよさをはじめ、長回しの多用によって全体が弛緩しないよう、要所要所でテンポを効果的に締め上げている。

1900年の大晦日(つまり20世紀の幕開け)からはじまる映画で、ちょうど同時期にベルトルッチ『1900年』を見ていたのもあり(こちらは時系列上ヴェルディの死の知らせ(1901年1月27日)からはじまる)、同時代のイタリアとギリシャを重ねて見ることができたのも収穫。どちらも資本主義・共産主義・独裁(ファシズム)の三つ巴が、土地(村落)に根付いた住民をいやおうなく流動化させていく話。
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