シンタロー

汚名のシンタローのレビュー・感想・評価

汚名(1946年製作の映画)
4.1
アルフレッド・ヒッチコック監督×ケイリー・グラント&イングリッド・バーグマン主演。
アリシア・ヒューバーマンは、ナチスのスパイを父に持ったために、世間に汚名を着せられていた。憂さ晴らしに開いたパーティで、FBI捜査官のデヴリンと知り合う。デヴリンはブラジルで暗躍するナチスの残党を調査するため、父親が残党と繋がりのあるアリシアに協力を求める。リオデジャネイロに向かった2人は惹かれ合うようになるが、デヴリンが上司に告げられた任務は、一味のセバスチャンにアリシアがハニートラップを仕掛け、情報を引き出すというものだった…。
ヒッチコック作品の中でも、特にヌーヴェルヴァーグから支持された名作。有名すぎる名シーンは、約2分半に渡るバーグマンとグラントのキスシーン。当時のハリウッドではキスシーンに3秒ルール?があったとかで、3秒毎に会話、中断、キスを繰り返す裏技で実現させたエピソードで知られてます。絶世の美男美女のこんなシーン、相当話題になったでしょうね。個人的には、セバスチャンが登場する中盤からが秀逸だと思います。任務のためとはいえ、愛する女が結婚までしてしまう状況に苦悩するデヴリン。男前なデヴリンが新妻とちょいちょい接触するせいで嫉妬に狂うセバスチャンという、三角関係な状況が非常にスリリング。息子を支配しようとする毒母も存在感あります。ワイン、鍵、スカーフ、コーヒー等々、小道具の使い方は見事ですし、酒蔵庫のシーンの緊迫感に満ちたカメラワークや、毒を盛られるアリシアのめまいショット等、見どころ満載で流石ヒッチコック先生です。
「白い恐怖」に続きヒッチコックヒロインにイングリッド・バーグマン。オスカー女優となり、人気も絶頂期だった頃です。北欧の血でしょうか、意外とガタイがよくて、顔の造りも中性的だし、声もハスキーボイスで、美人には違いないけど、結構個性的な方だと思います。ゴージャスなドレスやアクセサリーが映えるのは流石大女優の風格。ちょっとオーバーアクト気味ですけど、彼女のお芝居は好きです。こちらもヒッチコック作品2度目の主演となるケイリー・グラント。スタイル抜群なので、背の高い女バーグマンとも画になります。バーグマンとは晩年にも共演しますが、とても親しくなったそうでキスシーンをはじめ、一緒のシーンは生き生きしています。共演陣が芸達者揃いなので、芝居はやや物足りなく感じます。素晴らしい名演はセバスチャン役のクロード・レインズ。トリュフォーも絶賛してますね。彼の役の立場から映画を見ると、違った奥深さが込み上げてきます。バーグマンとの身長差にも注目です。
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