HAYATO

汚名のHAYATOのレビュー・感想・評価

汚名(1946年製作の映画)
3.7
2024年155本目
巨匠・アルフレッド・ヒッチコック監督作
父親にドイツのスパイ容疑がかけられ、売国奴の娘と呼ばれたアリシアに、FBIの捜査官・デブリンが接近。デヴリンは、ナチの残党と思しき人物・セバスチャンと彼女の父が友人であったことから、アリシアにその内情を探って欲しいと依頼する。やがて、リオ・デ・ジャネイロに移ったアリシアは、そこでセバスチャンの求婚に応じるが、デブリンとの連絡も続ける。そんな中、セバスチャンは、彼女が屋敷の酒蔵で組織の秘密を突き止めたことに気づく。
脚本は『暗黒街の顔役』のベン・ヘクト。
『シャレード』のケイリー・グラント、『カサブランカ』のイングリッド・バーグマンが主演し、『スミス都へ行く』のクロード・レインズ、『アスファルト・ジャングル』のルイス・カルハーンらが共演。
ヌーベルヴァーグ時代を切り拓いたフランソワ・トリュフォーが生前最も気に入っていたヒッチコック作品。
既に「不安」や「恐怖」を描く点においては飛ぶ鳥を落とす勢いであった当時46歳のヒッチコックが、初めて本格的に「サスペンス」と「ラブストーリー」を絡ませた本作。しかし、撮影当時、アメリカでは「3秒以上のキスシーン禁止」という謎のルールがあったため、3秒以内のキスを繰り返すという手法をとり、結果的に2分以上のキスシーンを撮ることに成功したそう。
使命と愛の間で揺れ動く設定が切なく、愛するデヴリンのためにスパイ活動を遂行するアリシアと、愛するアリシアを他の男性のもとへ送り込むデヴリン。それぞれの葛藤や苦しみが伝わってくる悲しくて重たいお話だった。
酒蔵に潜り込むシーンはヒッチコックの映像テクニックが詰め込まれていて、手がかりを探す過程でワインボトルが落ちそうになるところの緊迫感が凄まじかった。
HAYATO

HAYATO