桃子

汚名の桃子のレビュー・感想・評価

汚名(1946年製作の映画)
4.5
「はらはらどきどき」

クロード・レインズ繋がりで鑑賞。ケイリ―・グラントとイングリッド・バーグマンという2大スターが共演しているものの、レインズは非常に重要な役どころで、3人目の主役と言っても過言ではない。
最初、この映画でのグラントの性格があまり好きではなかった。あの前半の素直じゃない態度はなんとも…(笑) でも、そんな偏見はラストシーンで吹っ飛んでしまった。
ストーリーは実に素晴らしい。よく出来ている。バーグマンがやむにやまれずスパイになって敵陣に乗り込むという設定が秀逸だ。スパイ、と聞いただけでハラハラどきどきしてくる。一番はらはらしたのは、やはりワインセラーのくだりだ。ヒロインが鍵をゲットするところから、右手、左手のシーン、そしてワインセラーの前でのキス。とにかく小道具の「見せ方」が圧巻である。
サスペンスだけではない。恋愛がしっかり絡んでくるので、そちらも楽しめる。有名なキスシーンは別の意味でどきどきする。当時はキスシーンは3秒以上はNGという規制があったという。なんともばかばかしい規制だ。そこを工夫してあんなにロマンティックなキスシーンにしてしまうなんて、さすが監督。もっとも主演のふたりは演技に苦労したようだ。
エンディングのスカッと感が半端ない。ヒロインはどうやって窮地から逃れるのか。彼はどうやって彼女を助け出すのか。全くの未見だったし予備知識もなかったので、最高に楽しむことができた。
ヒッチコックの作品の中でもベスト10に入るというのは納得がいく。未見の方は是非!!
桃子

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