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兄弟仁義 逆縁の盃のIMAOのレビュー・感想・評価

兄弟仁義 逆縁の盃(1968年製作の映画)
4.5
鈴木則文、1968年の作品。彼のフィルモグラフィーの中では割と初期の作品。北島三郎主演『兄弟仁義』シリーズの中の一本。

昭和初期、九州のある街に流れ者(北島三郎)がやってくる。彼は刑期を終えて、生き別れになっている母親を探している。船である男(若山富三郎)と知り合うが、その男が殺した相手を北島三郎が偶然にも見つけた事で、対立するヤクザの抗争に巻き込まれてゆく…

この物語の背景として、工業地帯の漁村という設定があり、それは1960年代に社会的問題の公害(水俣)を暗示している。その上で、この男二人の友情を縦軸に、親子関係を横軸にして物語を展開させる巧みな脚本を書いたはの笠原和夫。鈴木則文は加藤泰などに師事したこともあり、多分『瞼の母』などの影響も見て取れる構成。鈴木即文はこの後『トラック野郎』シリーズなどを手がける職人となってゆきますが、この頃は良い意味でワンカットワンカット気合いの入った演出がとても好ましかったです。
そして北島三郎にはきちんとお決まりの歌のシーンがあり、若山富三郎には得意の殺陣のシーンも存分に見せるなど、キャストそれぞれの持ち味を活かしたウェルメイドな演出は流石!
桜町弘子は、やっぱり骨までしゃぶられちゃうんだな〜と思いましたが、そこはちょっとご愛嬌!?
先にも書いたようにコレはシリーズ作品なので、他のも観たくなってしまうのですが、そうすると旧作の泥沼から逃げられなくなってしまうんだよな〜^^
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