ロックウェルアイズ

つみきのいえのロックウェルアイズのレビュー・感想・評価

つみきのいえ(2008年製作の映画)
4.0
海面上昇によって水没しつつある街に1人で暮らすおじいさんがいた。
彼は水位が上昇するたびに上へ上へと家を増築してきたのだが、ある時パイプを下の階に落としてしまう。
それを拾いに海中へ潜ると、そこにはこれまで暮らしてきた思い出の詰まった部屋が広がっていた。

第81回アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した日本のショートアニメーション。
ザラザラとしたタッチの絵はとても柔らかく温もりを感じられて素敵。
セリフのない12分の物語だが、その内容はかなり濃厚でしっとりとしている。

時間経過のなんとなくの感覚として、思い出は背後に続いているようなイメージがあるが(私だけかもしれない)、本作では思い出の上に立っている。
縦で描かれる時間が新鮮に感じるが、よく考えてみたら確かに我々も先祖たちが踏みしめてきた地面の上を歩いているのだから、水に置き換えただけでそれが変わるのはなんとも不思議である。

ほっこりもするけどどこか切ない。
読み取れることは多いが語ることは少ない。
世界で評価されるのも頷ける作品だった。

ナレーションに長澤まさみとあって、ナレーションなんかなかったので、え?とおもったが、どうやらナレーション付きバージョンもあるらしい。
ナレーション版はまた違った印象を受けるのかもしれないが、まあこの作品にはいらないような気もする。