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思ひ出の曲のpikaのレビュー・感想・評価

思ひ出の曲(1936年製作の映画)
5.0
サーク、ドイツ時代、初期作でこれか!なんつー巨匠っぷり!ハンパじゃねー!!
なんて、なんて素晴らしい映画なのだろうか!!
オペラミュージカル映画って初めてだったけど歌が全編最高で、モノクロの世界をキラキラと輝かせる伸び伸びとした歌声がホントに素晴らしい!
主演の女の子の明るくキュートなキャラクターが愛らしく、軽やな恋の歌に微笑み、母と父の絆を結ぶ歌に感涙し、彼女の歌声と魅力的な音楽に心が洗われるような、毒素全部排出されたような心地よさだった。

ストーリーは極々シンプルなもので観客が先を予測するように構成されていて、先がわかってしまうからこそ愛らしいキャラクター達がどう体験していくのかと、ハラハラドキドキ、感情を揺さぶられながらその展開をドラマとして見たい!という欲求を見事なまでにくすぐられ、水戸黄門の紋所のシーンの如きカタルシスに「きたー!これが見たかったんだ!最高!」と感無量に涙する極上の映画体験を味わえた。

ミュージカル映画としてのクオリティもめちゃんこ高いし、メロドラマとしてもベタながらも本筋の「父親探し」と軽妙に絡ませつつ捻りがあって、78分でスパッと終わらせる潔いテンポの良さなど全編完璧で魅力しかないスーパー最高な傑作だった。
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