コーヒーマメ

ハッシュ!のコーヒーマメのレビュー・感想・評価

ハッシュ!(2001年製作の映画)
4.4
同性愛者を撮る、同性愛者の監督...ぱっと思いつくのはやっぱりグザヴィエ・ドラン、そして日本人だと、橋口亮輔。
ゲイのカップルと孤独な女性の奇妙な関係を、メッセージ性抜群かつめちゃくちゃ面白く作れるのは、当事者である彼以外にいない。

今まで観た橋口作品のどれもに共通するのが、「社会的なテーマを扱いながら、ユーモアを随所に散りばめている」こと。
あらすじや設定だけ見れば、いくらでもヘヴィでシリアスな作風にできるものばかりだけど、終わってみれば心が温まって明日からも頑張ろうって思える。

例に漏れず、『ハッシュ!』を観た後も、爽やかですっきりした気持ちにさせられた。
題中の“!”が表す通り凄く開放的で、『ぐるりのこと』や『恋人たち』以上に明るくポジティブ。
正直、コメディ映画と思いながら見ても良いんじゃないか、と思ったくらい。笑

最近、画伯としてブレイク中の田辺誠一や、高橋和也も良かったけど、一番印象に残ったのは片岡礼子。
ほぼ見ず知らずの好きでもない男
に「精子ください」なんて言う女がどこに居るんだよ!!、と突っ込みたくなるくらいに空想的な女を演じてるにもかかわらず、彼女の発する言葉にはずば抜けた説得力があった。
特に、中盤に訪れる重要な長回しのシーンは圧巻。(その後の、兄弟のシーンもグッとくる...)

それぞれにキャラの濃い登場人物たちが必死に生きる姿を見て、たくさん笑ったし、心を揺さぶられたし、幸せな気持ちにさせられた。
ちゃんと人間を描いて、ちゃんと面白い!凄いなぁ〜。