大道幸之丞

ハッシュ!の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ハッシュ!(2001年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「Filmarks」でフォローしている方が紹介していたので観た。それがなければDMMTVなんてマイナーなサブスクに加入もしなかっただろう。しかしこの映画に出会えて感謝している。

本作は2001年の作品だが、今のタイミングで観ると時代に合って感じる。ごく自然に暮らしているゲイカップル(栗田:田辺誠一、長谷:高橋和也)が本当に自然に描かれている。それが監督の純粋な力量なのか監督自身がゲイであるから故なのかはわからない。

正直これは「当たり」だった。脚本もいいしキャスティングも実力派揃いでしっかりしている。ゲイカップルに唐突に(結婚ではなく)突如「子供をつくりたいので協力してもらえないか」と歯科技工士の朝子(片岡礼子)に声をかけられてからドラマが動き出す。

栗田に片思いでストーカー化するエミ(つぐみ)の存在も全てをぶち壊しているようでいて、優しさからなのか優柔不断な栗田と長谷にしてみると「結果的に」一番厄介だったお互いの家族への状況説明をするはめになったことで、一応解決するので悪い存在ではない。


そして最初は「無謀」としか思えなかった朝子の申し出も、3人の関係と状況の変化により、「ハッピーエンド風」に推移する。

子供の全てをわかったようなつもりになっている長谷の母親(克美)や、結局は世間体や自身のストレスをぶつける容子(勝裕の義姉:秋野暢子)など、登場人物が「あるある的」で共感できる。

今泉力哉が失速してきている昨今、良い作品に出会えて満足できた。