お加代の覚悟の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

巨匠島津保次郎監督の7巻物小品だが中身の濃い松竹置き土産の一作。日本舞踊師匠三宅邦子は湯豆腐でちょっと一杯傾けると、戦地の夫と一人語らう仕草の粋な事。その夫に頼まれて写真を撮る若旦那上原謙に、ポーと赤らめる内弟子田中絹代19歳。写真を受け取りに出て写真が出来上がる迄上原に善哉をご馳走になり、上原の「写真より綺麗」の一語で無我夢中の所、上原の母葛城文子が商家の娘との縁談話を盗み聞きし泣き崩れる。上原の結婚式にも行けず動揺する心を押さえ、「お夏狂乱」を舞い踊る田中の力演に感動した。