ダイナ

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

タイトルから石油を巡って血が流れる争い…を想像していましたが、いや確かに石油を巡って最終的に血が流れてはいましたが、vs構造でやり合うというよりかは1人の男の破滅への道程にフォーカスを当てた壮大骨太な映画でした。栄光からの挫折でいうとPTA監督作ブギーナイツが精液に塗れた陽とすれば本作は泥とオイルに塗れた陰。

bloodが指し示す所は家族の繋がり(血縁)のように思えます。利益を追い求めたダニエルではありますが、弟(詐称)への待遇や息子HWへの対応には一部利益を無視した情の一面が見えました。そこの絆が不意になると攻撃性を見せてしまうのですが、そしてHWとの血の繋がりは無いのですが(もしかして激昂故のハッタリ?)、障害をなぎ倒して様々なものを失って進んだダニエルが利益の他に求めていたのはそのつながりだったのでは無いでしょうか。子供時代HWへの躾や介抱、弟の日記を読んで涙するシーンからはそういった感情を受け取りました。

ボーリング場のシャイニング感が好きです。ポール・ダノの二役設定なんかぬるっと差し込まれたように思えて混乱。途中まで二重人格なのかと…。途中宗教軍団率いるイーライvs石油掘削隊の血で血を洗うバイオレンスにでもなんのかと思っていましたが、暴走したカルトじゃなくて良かったです。宗教の良し悪しは見方によって変わるため断定できませんが、洗礼でイーライの言葉(思考)を強制させていた辺りにラストのダニエルの正当性をほんの一縷ですが感じてしまいます。
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