ヘンダーソン

ボビー・フィッシャーを探してのヘンダーソンのレビュー・感想・評価

4.0
これは考えさせられる。
才能があるが故の不幸について。
何かの分野に秀でた人間を育て上げようとする時、才能を伸ばす為に打ち込むことは必要だが、同時に多くのことを犠牲にしなければならない。
特に子供は、自分の意思ではなく親の意思が強く影響を及ぼすだけにより難しい問題になる。

ボビーフィッシャーの呪縛に囚われた大人たち。彼への憧憬が強すぎて、ジョシュという個を見ることができない。
こういう時、競争原理に囚われる男性性というのを上手く描いていると思う。
最終的に周囲の大人たちもジョシュを理解することでスランプから抜け出し、その後もチェスを続けているということだけど、やはり環境はとても大切だ。

ジョシュ役の子役がとてもよかった。全てを見透かしているような澄んだ目が記憶に残る。