いろどり

ざくろの色のいろどりのレビュー・感想・評価

ざくろの色(1971年製作の映画)
4.5
圧倒的映像美!エキゾチックな映像芸術の宝石箱!

街中でふらっと立ち寄った本屋で立派な装丁の洋書の画集や紋様図鑑を手に取ったときのような、日常とはまったく異なる世界へトリップさせてくれる。

映画の場面一つ一つが絵画のようなのはパラジャーノフが意図して作った模様。

これはアルメニアの実在の吟遊詩人サヤト・ノヴァの一生を、本人の詩的世界観を踏襲しながら描いている。ほとんどセリフがなく象徴的シーンの連続だけど、何を象徴しているのかほとんどわからない。

非常に静的で、厳かな舞台芸術のよう。映画とは何なのか。新たな映画芸術のジャンルの確立とでもいえよう。

ソ連統治下のアルメニアでの製作のため、アルメニアの侵略の歴史の描写などは検閲によりカットされているらしい。

タルコフスキーとともに芸術を通して共産主義と戦ったパラジャーノフの至高の傑作といえる。

映像の魔術師といわれるような芸術性の高い名匠はたくさんいるけれど、他の追随を許さない詩歌の粒を連ねるような独特の映像美は唯一無二。今まで見た映画の中で最も美しい作品です!

YouTubeで字幕なし観賞後、新文芸坐にて字幕ありを無事鑑賞。
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