津軽系こけし

サムライの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

サムライ(1967年製作の映画)
3.9
狼に言葉はいらない


【フランスと日本は映画マブダチ】

ゴダールやトリュフォーらのヌーベルバーグの影響が間違いなくあり、芸術性の高い印象を受ける。受難に苦しむ罪人と、それを見守る女という構図には、ブレッソンじみたフランス映画っぽさがある。タイトルの「サムライ」は「武士道」からの引用ということが導入にて告げられるが、ある意味でフランスの日本映画に対する憧れが表れてると思う。
それこそ黒澤明や、小津安二郎、などの巨匠らに対するリスペクトだろう。そして、このジャンピエールメルヴィスが、後の北野武に影響を与えたと思うと、日本とフランスの密接な文化関係を感じずにはいられないわけです。

【夜に眠る大狼】

さてアランドロン。このオシャオシャな映画について話そうじゃありませんか。

描写とデクパージュの妙。感情の駆け引きや動きがとても静かだが、その分そこで起こっている運動に注目させられる。序盤の尋問シーンで、刑事が扉ずたいに部屋から部屋へと移動してゆく場面が特に好き、どういう構造しとるのあそこ??屋内の構造をアクションと共に楽しませるのは、溝口健二の長撮りみたいだなと思った。つい最近「残菊物語」を観たせいだろうか。

しかしアランドロンのえっちえちな佇まいがなによりである。鏡の前で帽子のエッジをシュッと整わせるのなんかめちゃかっこいい、あれやって許されるのはアランドロンか空条承太郎くらいなものだろう。というかそれ以外知らないのだが笑

【まとめ】

アランドロンのありがたいスタイリッシュ加減に授かる映画であり、様々な影響の片鱗を覗ける作品である。にしてもこの時代の映画の足音SEは堪らん。
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